« 海外旅行に持っていくものリスト2018 | Main | 上司が部下の残業を減らすためにできること »

2018.07.01

アーキテクチャ(もしくはワイン)を語るための戦術

エレベータ・ピッチという言葉がある。エレベータに乗ってる間(約30秒)のような短い時間で要領よく相手に伝えることを指すようだ。孫正義氏が一発OKを連発したと帯にある前田鎌利氏の「社内プレゼンの資料作成術」でもキーメッセージの文字数はYahoo!ニュースの見出しと同じ13字としている。

確かに顧客と幹部は短い言葉で伝えよとはよく言われるが、コミュニケーションは顧客と幹部だけが相手ではない。短く話をまとめようとしたら、十分な検討がされていないと映ってしまい、必要な(本当は必要でないかもしれない)追加資料がないと議論が再開できないなど却って長引かせてしまうことがある。つまり「話が長い」と「伝わらない」のストライクゾーンをいかに見極めるかは仕事を早く片付ける上で重要な技術だ。

昔、スライドをめくらせてくれない上司がいた。課題の全体像が明らかになっていない限り、解決策を聞いてくれないという厳しい指導力の持ち主だ。こちらとしては、解決策にOKを貰わないと作業に入れないまま時間だけが過ぎてしまうから必死だ。しかも資料構成にも厳しかったので1枚に結論まで書くという手を使わさせてもらえない。

幾つかの姑息なテクニックは身につけた。表紙に今後のスケジュールを書き、それまでに決めたい旨を刷り込んだり「この問題については次ページで」と、そこかしこに書いておくのは、その頃から習慣となっている。通常の人は、きっと君が掘り下げている問題が最も重要だと思ってくれるのだが、その上司は、そんな手には乗らない。それが本当に解決すべき問題なのか、関係者が同じ根拠で語れるかが重要なのだ。

こういう上司もいた。その上司がワインを持ってきたワインを飲んだのだが、自分の好みではなかったので、「おいしかっただろ?」と聞かれてYesとも言いづらく、飲みやすくてあの場の雰囲気に合ったワインでしたね、と答えた。だが、世の中には執拗に「このワインが飲みやすいかどうかを聞いてるのではない。お前がおいしいと思ったかどうかだ」というタイプもいる。(幸い、そこまで執拗な上司ではなかっただが)

余談だが「Python機械学習プログラミング」という本では「第5章 次元削減でデータを圧縮する」でUCIが提供するワインに含まれる13の化学物質(アルコール、フラボノイドなど)を扱っていて、容赦ないと思った。

話が脱線した。

相手のストライクゾーンを見極めておくことが鉄則だ。だが見つからない場合も多いので、球種は多い方がいい。持っておく球種は最低2つ。結論から語るか、ストーリーから語るか。

たまたま、ある会社の株主総会のリハーサルに立ち会ったことがあるのだが、幹部の回答は見事なぐらいYes/Noを避ける。会社が持っている指針(例えばCSRなど)や活動を伝え、Yes(またはNo)であることの判断は質問者に委ねる。そうしないと、答えた直後にYesでない根拠を示されるリスクがあるからだ。

一方で、幹部は自分の質問に対して遠回りな回答を許容しないことが多い。なので仮に結論をひっくり返されるリスクがあろうとも、まずは結論ありきで話し始めるのがよい。相手によって話し方が違うのは日和見主義と思われるかもしれないが、適切な権限委譲が業務をスピーディーにし、関係者が同じ根拠で重要性を判断した課題であれば、順序で結論はぶれない。

箇条書きにすると、こんな感じだろうか。

  • 自ずと結論に導かれるようなストーリーを3分で伝えるための文章を用意する
  • 結論を30秒で伝える文章を用意する
  • 相手が結論重視かストーリー重視かを見極める
  • もし相手が結論を求めているのにストーリーで話してしまった場合(もしくは逆)、すぐに相手に合わせて切り替える

ワインがビジネスに役立つというのは、十分に複雑な問題に対して長い薀蓄を語り合いたいタイプと、最短距離で結論(飲むべきワイン)を知りたいタイプの両方に接することができるからだろう。

|

« 海外旅行に持っていくものリスト2018 | Main | 上司が部下の残業を減らすためにできること »