« IT業界の有名人の言葉でTOEIC対策ができるサイト | Main | 稲田将人の「戦略参謀」は憑きを落とす経営書 »

2018.03.18

決裁文書にブロックチェーンという記事の違和感の正体

ある決裁文書の改ざんに触れ、決裁文書の改ざん防止にブロックチェーン技術を使うべきという記事をいくつか見た。技術的なことはともかく、これらに嫌悪感を感じた人が少なからずいたようである。そんな感情を持った一人として掘り下げてみる。

まず、新しい技術が世に出たとき、その適用領域を探すことを仕事にする人がいる。どうやら、そういう仕事をして嫌われてしまうタイプと、そうでないタイプがいる。この正体は何だろう。かつての自分は、自ら手を動かす人間と、キーワードに反応するだけの人間の差かと思っていた。ところが、人工知能の論客はサンプルコードぐらい、さらっと動かしてみせる。ブロックコード界隈も同様だろう。

公開鍵や秘密鍵といえばIT系の試験問題の定番だが、要するに技術を理解する力があるかの踏み絵だ。自分でOpenSSLのコマンドを打ててSSLに対応したWebサイトを構築できることと、その出力が何を意味しているかを理解できているかに大きな差ある。おそらく最近のエバンジェリストの方々は、理解力も優秀で、なおかつ様々な事例も頭に入っている。

一方、経営的な観点ではどうか。おそらくは彼らは並のエンジニアとは比べものにならないぐらい費用対効果に敏感だったりする。念のため言っておくが、自分は新しい技術の新しい使い道を開拓した人々に尊敬の念を抱いている。そんな技術的にも、経営的にも間違いを犯さなさそうな優秀な人が、それでも変なことを言ってしまうとしたら、それは技術と経営に関係ないところにファクターがあると思わざるを得ない。

飛躍していることを覚悟の上で書くと、こういうことではないだろうか。

まず、入力と出力について。サンプルコードを触っているのと、最終的にビジネスに活かせているかの大きな差は、入力を自分で用意できて、かつ使える出力にできるところまでチューンできているかということだろう。この泥臭い前処理・後処理がコストとして見なされていなければ、その分だけ軽薄に映ってしまう。これも技術力には違いないが、あえて別の言葉で呼ぶとすると実装力だろうか。

そして、安易にキャッチーに言い切っているかどうか。おそらく、記事になる前のインタビューの時点では、それなりに慎重に適用領域を語っているものが、編集によって省略されている可能性もある。かつては、この雑誌は、このぐらいの人が目にして、それ以外は目にしないという読者像があったかもしれないが、誰にでも閲覧できてしまうWeb媒体では読者像を意識しすぎると逆効果になるケースもある。

だとしたら、新しい技術で新しい領域を開拓したい我々は何に気をつければいいか。ひとつは、前処理と後処理の重要性を理解し、適用しようとしている業態からインプットとして何が得られて、それをどう加工すればよいかというステップまで語ること。

そして、それを雑な省略をせずに伝える技法を身につけること。どうも人は、判断に必要なエネルギーを抑えるあまり、できるのかできないのか2択を迫る傾向がある。だとしても、最低限の判断ポイントを脳にコンパクトに収まるようにする努力は怠ってはいけない。

|

« IT業界の有名人の言葉でTOEIC対策ができるサイト | Main | 稲田将人の「戦略参謀」は憑きを落とす経営書 »